昔々あるところに人間の家族が住んでいました。

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まだ、農耕という概念が存在せず、人々がその日その日の食べ物を集めるのに走り回っていたころの話です。

昔々あるところに小さな岩山があり、岩山には自然にできた洞窟がありました。

雨風をしのぎ、奥に藁を敷けばよい寝床のできるその洞窟には狼たちが住んでいましたが、人間の家族の集団に追い払われて、そこは人間たちの住まいとなっていました。


ボスのガンガは力も強い、足も速い、知恵もまわるので、家族の男どもの先頭に立って狩りをしていました。

と言っても男は成人が3人、10代の少年が3人あとは小さな子供でした。

洞窟に残るのは女が5人と子供たち、そして老人の爺様とばあ様、と言っても二人とも足は十分に速いし、そもそもまだ50歳前でした。


総勢20人ばかりのその集団は、狩猟と採集生活をする集団としてはかなり大きなものでした。

獲物は一定エリアに一定の割合でしかいないので、大勢の人間が生きていくのに十分な獲物を手に入れようとすると、かなり広い縄張りが必要となってくるし、猟も大変なのです。


でも幸い、その地域には大きな川があり、そこで魚や貝、カニやエビが簡単に取れたので、女子供と老人はそれを採取して、持ち寄って豊かな暮らしをしていました。


そんなある日、ガンガと一番の仲良しの女性のアイは、川べりで奇妙な光景を見つけます。

イノシシが川辺の湿地に生えている草の実を一心不乱に食べているのです。

後ろからそっと近づいて石で殴ればとらえられるんじゃないかしら?


そう思ってそ~っと回り込んだアイでしたが、残念ながらイノシシにすぐに気取られて走り去ってしまいました。

それにしても気になるのはイノシシの食べていた草です。


獲物が何日も取れなくて、川が増水して漁もできない時には草を抜いてきて煮て食べることもありますが、けっして美味しい食事ではありません。

たまに実がついている草もとってきますが、どれもが美味しいわけではない、実がないよりましという程度です。


でも、あの草、イノシシの食べっぷりはものすごかった。

まだ残っている草をその実をアイは持って帰りました。

もちろん、貝やカニの獲物たちのついでです。


洞窟に帰ってみたら、ガンガたちが帰ってきていました。

数日間に及ぶ猟で大きなシカを追いかけていたのですが、あとちょっとのところでがけから飛び降りられてしまい、手にすることもできずに帰ってきたと言います。

そんなわけでお腹はペコペコだけど獲物はなく、アイたちのとってきた貝やカニを食べようとします。


生で食べるとお腹を壊すことがあるのをみんな知っていたので火をおこし始めたのですが、みんなイライラしています。

ガンガなんか大きな体で貧乏ゆすりをしてイライラしています。

「かわいい~」

そう思いながら、ふと、アイは思い出しました。

イノシシが食べていたあの草の実、あれなら生で食べても平気なんじゃないか、ひょっとしたらおいしいかも。


おそるおそるそれをガンガに差し出します。

「なんかうまいかもしれないが、そのままじゃ硬すぎるな。」

そういうとガンガは火を起こした熱くなった石の上にその草を並べました。


貝やカニが焼けあがる前に草の葉っぱが縮み上がって焦げだしたので、ガンガは草の実の部分だけをつまみ上げて食べ始めます。

「おい!アイ!なんだこれは!」

「ご、ごめんなさい、おいしくなかった?」

「違う、ものすごくうまい、これまで食べたことがないうまさだ、いや、秋のドングリの実とちょっと似ているぞ、だが、どんぐりよりはるかにうまい!お前も食ってみろ、ほら。」

「わあ~!すごくおいしい。それに噛めば噛むほど、果物みたいに甘くなるよ!とてもいいね。」

「ほんとうにいいね・・・そうだ、イネと名付けよう!」



こうして、狩猟採集生活は農耕文明へと発達し始めたのでございます。


ンナワケネーダロ!(・_・)ノ☆(*__)

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このブログ記事について

このページは、実践管理人が2012年4月 1日 19:00に書いたブログ記事です。

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